SearchBrowseAboutContactDonate
Page Preview
Page 20
Loading...
Download File
Download File
Page Text
________________ これは、ダルマキールティ說ではなく、ダルモッタラ說を踏まえたものである。なぜなら、ダルモッタラ (七五○!八一 ○)の『プラマーナ・ヴィニシュチャヤ釋』には次の二つの論證式が用いられているからである。 《論證式一》 (大前提)矛盾する属性をもつものは単一でない。例えば、別個の壺のように。 (小前提)[對論者が〕単一と認める對象は、矛盾する屬性をもつと經驗的に知られる。 ((結論)對論者が單一と認める對象は、實は単一でない。) 《論證式二》 (大前提)何であれ存在するものは部分をもたない。例えば知識のように。 (小前提)顯現しているものは存在する。 ((結論) 顯現しているものは部分をもたない。) 部分とむすびつくならば、方角(場所)の相違に起因する、「存在性」の対立項であるところの「非存在」と言われる ものになる。それ故、「自體と對立するものの認識」[という意因]によって、[存在性]は[有部分性]から排除され て[それと矛盾する] 「無部分性」によって過充されるから、[この論證式は]「自體」[という證因にもとづく論證式 である」。 以上のうち、まず《論證式二》以下の箇所については、サンスクリット原文を同定し得たことを述べておきたい(注3)。 つぎに內容についてであるが、ダルモッタラは《論證式一》によって、ニャーヤ・ヴァイ シェーシカの主張する外界の「全 體」の単一性を否定し、逆に《論證式二》によって、自說唯識において真に實在する知識內對象の無部分・単一性を論證 しようとしたと考えられる。ここに我々は、ダルマキールティ以降の佛教說の發展の一端を見ることができょう。 - 部分と全位 六二五
SR No.269522
Book TitleBhava And Svabhava 01
Original Sutra AuthorN/A
Author
Publisher
Publication Year
Total Pages30
LanguageEnglish
ClassificationArticle
File Size3 MB
Copyright © Jain Education International. All rights reserved. | Privacy Policy