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________________ 展 望·彙報 戦後インド学の主要労作 (2) 文学史インド文学史の紋述に文芸美の探究が全く問題外であるというのでは ないが,世界の学界がこの点で先ず要望するのは、あらゆる時代と様式とにわたる既知の 原典に対し,適確な内容紹介と位置づけと,そして従来の研究における問題点の明示とを 与え,且つ主要な校本・訳書・研究業績の註記によって、何れの分野の専攻者にも信椅す べきビブリオグラフィーを提供することであろう。さてこの様な意味での標準的な文学史 が過去にあったとすれば,それは第一に A. Weber: Vorlesungen uber, indische Literaturgeschichte (1852 : 第二版 1875に基く英訳 History of Indian Literature, 1878) であり,次いで以後の研究の発展と文献の増加に応じて,前者に代ることとなった M. Winternitz: Geschichte der indischen Literatur ('04-22 : 略記 GIL) 三巻であ ること申すまでもない。インド文献学の夫々の歴史的段階を代表するものとして,これら 両著は一少くも上記の見地からは他のどの文学史とも同一の平面におかれ得ぬもの であろう。 周知の様に GIL は、程なくインドで英訳され カルカッタ大学から出版されることとな. ったが,この際 Winternitz は自身で訳業の監修に当った外,主として'22 年以後の文献 増加に基く所要の補訂を,この英語版で果そうと努めた。かくて著者の意図は第一・二巻 に関する限りは達成され,History of Indian Literature (tr. S. Ketkar, I'27, I '33: 略記 HIL) として現れたのであるが,インド内での研究業績が特に多い部門を覆う第三 巻については,英訳増訂版は遂に形をとることなくWinternitz の死 (33)に及んだ。 その後,監修の地位に適任の後継者を得がたく、且つ西欧学界との連絡も失われて, カル カッタ大学は第三巻の英訳を放棄し,寧ろインド人学者の執筆によって事実上この巻を更 新するが如き、二冊の新文学史を計画することとなった。 ての事業の主宰は高名な哲学者 S.N. Dasgupta の手に委ねられ、その第一冊として kavya と alankara を併せ扱う 700 頁の大冊, Dasgupta =De: History of Skt. Lit., Classical Period, Vol. I* ('47) [IHQ 48 Upadhye; JRAS 49 Burrow; JAOS 752 Emeneau] の形で出版された。然しその出来ばえは遠く期待を裏切るものであり, イ ンド内にてさえ世評は余り芳しくなかったかと思われる。この巻における二人の執筆者の 「共著」の性質自体が先ず問題で,いわば総論の担当者たる Dasgupta と各論の担当者 S. K. De との間には、文学史紋述の態度からして対蹠的な差があるばかりでなく,前者 が別に Editor's Notes として相当の紙幅を加えた結果は,個々の研究上の争点に触れて が全く相反する見解を表明する例さえ少なくない。例えば前者が採る BhasaKalidasa (前1世紀) GAsvaghosa の図式に対し,後者は Asvaghosa-BhasaKalidasa (後4世紀)の如く。文学鑑賞に属する記述が豊富なのは、インド人学者にして
SR No.269360
Book TitleLaksana Laksyartha
Original Sutra AuthorN/A
Author
Publisher
Publication Year
Total Pages24
LanguageEnglish
ClassificationArticle
File Size2 MB
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