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________________ 三ダルマキールティ以降の展開 1 非實在の誤謬 部分と全體について、ダルマキールティ以降の議論を險登しようとするとき、我々は大きな問題に遭遇せざるを得ない。 彼以降のニャーヤ・ヴァイ シェーシカの現存テキストは、すべて九〇〇年前後の成立と考えられ、その閒の空白を埋める シャっ 議論は、カマラ シーラの『タット ヴァ・サン グラハ難語際』に垣間見られるシャン カラス ヴァーミン說のみである。加え て、現存テキストの著者の年代すら確實とはいえない。また、部分と全體に關する限り、二三の論點を除けば、概して現 存テキストは大同小異、そこに時代を畫する新たな視點は見いだせないようにも思われる。ダルマキールティ以降、認識 論・存在論上の學派的對立が深まり、對論の共通基盤が失われたかの感さえある。そこで我々は、目下の問題へのアプロ ーチとして、年代論や認識論・存在論上の問題を離れ、論理學的問題に對する一つの觀點を設定してみたい。それによっ て、十世紀頃に共通のある問題意識を抽出することができるのではないかと思う。 その觀點とは、論證式における小前提の處理である。一般にダルマキールティ以降の議論の特徴として、一連の議論が 論證式の成立・不成立を巡ってなされる點を指摘し得る。結論を先取りするならば、部分と全體の議論の特徴としては次 の點がある。すなわち、論證式を自立(定言的)論證 (svatantrasadhana) か歸謬 (假言的) 論證 (prasaigasadhana) か に分ける分類法と、佛教にとって全體は存在しないから、論證式は非實在の誤謬 (asrayasiddhi) となるのではないかとの 論難の二點である。ここにおいて、それまで自己の呈示と擁護に終始していたニャーヤ・ヴァイシェーシカが、佛教の全 體批判の論理學的缺陷を指摘することによって反撃を開始したのである。 部分と全位 六一九
SR No.269522
Book TitleBhava And Svabhava 01
Original Sutra AuthorN/A
Author
Publisher
Publication Year
Total Pages30
LanguageEnglish
ClassificationArticle
File Size3 MB
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