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________________ ダルマキールティの「本質」論 ない。それが存在する時点でまだ存在していないものは、必ずしも後で存在しな いから。原因は結果を逸脱するからである)。 このように Dharmakirti は、概念と存在レヴェルの対象の対応関係から、karyahetu と svabhavahetu の二つを、限定的に数え上げたのである。後者については論ずるべ き点が多いが、ここでは、後者の tadatmya 関係が、他に依存する別個なものの間に 成り立つ関係の否定として、すなわち「異ならない同一の対象に関わる二概念間の関 係」、「同一物における関係」として提出されている点を確認すれば十分である。 svabhavahetu について議論をすすめるために、以下にまず karyahetu を考察して おきたい。というのも、もし karyahetu における推理構造が判明すれば、翻って svabhavahetuの場合にも、ある程度パラレルな理解が可能となるからである。 (2.3 karyahetu) (形式)AにはCがある。Bがあるから。 (例) ここに火がある。煙があるから。 <<2.31 証因と所証の関係》 上述の「別個なものの間に成立する非逸脱関係は tadutpatti 以外にありえない」 という Dharmakirti の説に対して、次のような反論と応答が展開される: (反論)もし因果性 (tadutpatti)の故に karyahetu が「所証=原因を]知 らせるのであれば、[結果と原因の間には]あらゆる点で知らせるもの (gamaka)と知られるもの(gamya) の関係があることになろう。なぜなら「両者に は]あらゆる点で生み出されるもの (janya)と生み出すもの (janaka)の関係 があるのだから。(応答)そうではない。それ(原因の特殊性質)がないときに [も]存在するもの(結果の一般性質)は、それから生じたとは必ずしもいえな いから。従って「結果は原因にあるいくつかの svabhava と不可離関係 (avinabhava) をもつ」(=v.2ab)。それら(原因の特定の本質=原因の一般性質)[を 知らせる]「証因である」(=v.2c)。なぜなら、それ(ら原因の一般性質)の結 果であると確定されるからである。それら(原因の一般的性質)なしには存在し 得ないそれらの属性(結果の特殊性質)を伴っているからこそ、結果は証因と して認められるのである]。 (反論)「そうであれば]生み出すものと生み出されるものの関係が[存在の レヴェルで] 部分的であるという不都合がある。(応答)そうはならない。[存 在レヴェルの関係は部分的ではなく全面的である。]それ(原因にある特殊性質) から生じた[結果の]特殊性質が認識されるときには、[その原因の特殊性質が -14
SR No.269490
Book TitleBhava And Svabhava
Original Sutra AuthorN/A
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Publication Year
Total Pages44
LanguageEnglish
ClassificationArticle
File Size5 MB
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